最近読んだ本

岡西政典(2016)深海生物テヅルモヅルの謎を追え!: 系統分類から進化を探る (フィールドの生物学).東海大学出版部.

本書から著者はいかにも分類屋さんといった印象を受けた

テヅルモヅルの仲間は珍しいものが多いようで(それ以前に生息水深が深すぎて普通はアプローチすらできない)、野外で採集することよりも博物館に収蔵されている標本を使って研究を行うことが多いらしい。世界中の博物館を巡って標本を観察して回るのは、生き物屋なら多くの人が憧れることだと思う(多分)。

標本調査で、特に由緒ある標本(有名な研究者による同定ラベルが付いているとか、論文の図版に使われたとか)に出会った時に興奮してしまうのは共通の心理だと思う。また、新たに役立つ分類形質(種を分ける際の指標となるもの)を発見した時のくだりなどには思わず共感して胸が熱くなった。

他の方が書いた本書の書評にも似たようなことが書いてあったけど、わざわざ「系統分類」とする意味とは何だろうか?

気に入った言葉:「博物館調査こそが野外に次ぐ第二のフィールドワーク」